ZenFone Max Pro M2 (8)
日本で販売されているZenFoneのパッケージ裏には「Made in China」と記載されています。台湾企業のASUSですが、生産はパートナー企業に委託し、中国で組み立てられています。

アメリカと中国が争っている「米中貿易摩擦」はスマートフォンの分野においても無視できない影響を及ぼしはじめています。台湾企業であるASUSには直接的な影響は無いものの、中国に生産拠点を置くパートナー企業にとっては頭の痛い話になっています。

ASUS ZenFoneの製造を担当する主なパートナー企業

ASUSは製造部門をペガトロンとして独立させたため、生産においてはペガトロンを含むパートナー企業に委託するかたちとなっています。ZenFoneの生産に関してはEMSOneの報じるところによると2015年の段階で以下の通りです。

  • ペガトロン(台湾)
  • 鴻海(フォックスコン・台湾):ブラジル・インド向け
  • クアンタ・コンピュータ(台湾)
  • アリマ通信(台湾):インドネシア向け

鴻海はiPhoneの製造なども担当する業界最大手でシャープを傘下に取り込んだことでも有名です。アリマ通信の名前は聞き慣れませんが、Xperia C5 UltraやトーンモバイルのTONEなどを受注している模様。

多くが中国に工場を構えていますが、人件費の高騰に加え、米中貿易摩擦の影響が大きく出ています。また、ASUSはブラジルやインドを重要市場として捉えていることがわかっています。

【EMS/ODM】 ZenFoneの製造パートナー調整へ インド・ブラジルは鴻海 インドネシアはアリマ:EMSOne

ペガトロンが中国からインドネシアに生産ラインの一部を移管

米中貿易摩擦の影響を受け、ペガトロンは中国にある生産拠点の一部ラインをインドネシアに移管します。他にも台湾やインドへの移管も進める方針で、ベトナムも候補地として挙がっている模様。

台湾ペガトロン、米中摩擦で中国から生産分散:日経新聞

台湾回帰を進める政策

中国での生産が厳しくなってきた台湾メーカーには「中国以外の国に工場を移す」以外の選択肢として「台湾に戻ってくる」という選択肢が生まれました。台湾の蔡英文政権は台湾企業の台湾への回帰を推し進める政策を打ち出しています。

鴻海が中国から台湾に生産設備の一部を移転

「米中貿易摩擦で打撃を受けた企業に対して台湾に戻ってくるなら支援を行う」という政策です。最大手の鴻海もこれに乗じて中国の重要拠点から一部の生産設備を台湾に移します

中国から逃げ出す台湾メーカー、鴻海も“我が家”へ:JBpress

インド市場向けモデルがインドで生産されるようになるかもしれない

ZenFone Max Pro M1 100万台達成
ZenFone Max Pro M1はインド市場をターゲットにした戦略モデルです。発売から半年で100万台のセールスを達成するなど販売は一定の成功を収めたとみて良いでしょう。

ZenFone Max Pro M1は現在パートナー企業を介して中国で生産が行われています。現時点において中国での生産がベストだと判断してのことで、今後インドでの生産が行われる可能性については否定していません。

また、過去にはZenFone 2の生産が鴻海に委託されインド生産されたという実績もあります。

How Asus Made the ZenFone Max Pro M1 for India:Gadgets 360

ASUSは重要市場ブラジルで存在感を高めたい

ZenFone Max Shot Max Plus M2
3月にブラジル市場向けに発表されたZenFone Max Plus M2とZenFone Max ShotはASUSがブラジルを重要市場として見ていることを示しています。

SoCの他に各種センサーなどがパッケージモジュールとなったクアルコムの「Snapdragon SiP 1」はZenFone Max Plus M2とMax Shotが世界初搭載。このSiP 1は2020年よりブラジルでの製造が始まります。

Made in Brazilでブラジル市場シェア拡大を狙うASUS

鴻海はブラジルにも生産拠点がありますので、Snapdragon SiP 1を含めたZenFoneの生産自体をブラジルで行うことが可能。Made in BrazilなZenFoneを実現させてブラジル市場でのASUSのシェア拡大を狙います。

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中国への依存解消は遠い道のり

生産拠点の移管は各社が進めているものの、影響を回避できるほど順調ではありません。鴻海は生産能力の86%が中国にあるとのことで、米中貿易戦争のあおりを強く受けるかたちです。中国に拠点を置く他に台湾企業にとっても「生存の危機」と言える状況になることを懸念しています。

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