Zenfone 8が日本で発売されてから約1年が経過しました。私は発売日から今日までZenfone 8をメインのスマホに据え、毎日愛用してきました。
Zenfone 8 ZS590KSの主なスペック
- OS:Android 11(ZenUI 8)→Android 12アップデート実施
- CPU:Snapdragon 888 5G
- ディスプレイ:5.9インチ(2400×1080)有機EL、HDR 10+、120Hz
- RAM:8GB / 16GB LPDDR5
- 内部ストレージ:128GB / 256GB UFS3.1
- アウトカメラ1:広角6400万画素、F1.8、IMX686、2x1OCL PDAF、OIS
- アウトカメラ2:超広角1200万画素、F2.2、IMX363、デュアルPDAF、4cmマクロモード
- インカメラ:広角1200万画素、IMX663、デュアルPDAF
- バッテリー容量:4000mAh、30W急速充電(QC4.0 / USB PD 3.0)
- サイズ:高さ約148mm×幅約68.5mm×奥行き約8.9mm
- 重さ:約169g
- SIM:nanoSIM+nanoSIM(microSD非対応)
- 5G:n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n38/n77/n78
- FDD LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28
- TD LTE:B34/B38/B39/B40/B41/B42
- その他:おサイフケータイ(FeliCa)、IP65 / IP68防水・防塵、Wi-Fi 6、画面内蔵指紋センサー、3.5mmイヤホンジャック、FMラジオ
- カラー:オブシディアンブラック、ムーンライトホワイト、ホライゾンシルバー
まずはスペックのおさらい。2021年のハイエンドCPUであるSnapdragon 888 5Gを横幅70mmを切るコンパクトなボディに収めたことが特徴です。また、ASUSとして初めておサイフケータイに対応しました。モバイルSuicaなどの電子マネーが使えるようになり、日本市場においてニーズの高い機能をほぼ網羅しました。
筆者の利用シーン
スマホは使い方によって評価が大きく変わります。私はスマホでゲームはプレイせず、どちらかといえば負荷の小さいウェブ閲覧系のアプリを多用する使い方をしています。頻繁に使うアプリは以下の通りです。
- Chrome
- Googleフォト
- Googleマップ
- Feedly
- カメラ
- YouTube
- コード決済系アプリ
- おサイフケータイ系アプリ
Snapdragon 888 5Gの発熱について
Snapdragon 888 5Gは発表当初から発熱について懸念があり、SNS等で話題になっていました。特にZenfone 8はボディサイズが小さいことで排熱性能で他の製品に劣るのではないかと心配されていました。
蓋を開けてみれば、実際にはそんなことはありませんでした。当初のレビューでも大きな発熱は発生しなかったことを記していますが、その後のアップデートでチューニングが進んだのか、日常生活においてスマホの発熱を感じるシーンは一切ありませんでした。今年の厳しい暑さの中でも一切問題なく動作し、快適に使えています。
電池持ちについて
もう1つの大きな懸念点としてあったのが電池持ち。5G時代に突入してからのAndroidの高性能スマホは消費電力が大きくなり、今や5000mAhが当たり前になりました。そんな時代にコンパクトなZenfone 8は4000mAh。サイズからすれば十分頑張ってる容量ですが、電池持ちを心配する声が大きかったのも仕方ないと思います。
これに関しても私の使い方なら終日持つだけの余裕がありました。日によっては朝から晩までテザリングをオンにしっぱなしにするというクセの強い使い方をする場合があり、そういうときは流石に終日とまではいかず、夕方まで持たないだろう(なのでそれまでに充電を挟む)というシーンもありました。
手に馴染む絶妙なサイズ感
実際に使い続けた中で不安だった発熱と電池持ちに関して大きな問題も起きず、アップデートを重ねることでさらに安定感が増していきました。
画面サイズは縦長の5.9インチ。本体の横幅は68.5mmで握った際の収まり感が良く、重さも169gと昨今の大型化・重量増加が顕著なスマホの中で光る1台です。「Androidスマホはデカくて重い」というのが当たり前になりつつある中で貴重な存在。
最高ではないけど不満の少ないカメラ
ハイエンドモデルに分類されるZenfone 8ですが、カメラに関してはミドルレンジ~ミドルハイクラス。こういう取捨選択で手頃な価格を実現してるわけです。
業界のトップを走るようなメーカーのフラグシップモデルと比較すると画質や、AIによる自動補正などで見劣りする部分があります。とはいえ日常的に使う中で物足りないと感じるシーンはほぼありません。
「あと一歩」のところはGoogleフォトのレタッチ機能などで少し手を加えることで調整しています。
コンパクトな筐体ゆえに広角+超広角のデュアルカメラ構成。望遠カメラは非搭載です。もしZenfone 8に望遠カメラを搭載しようとすればバッテリー容量を削ることになったでしょうし、当然ながら価格も上がるはず。
だからって不満が無いわけじゃない
1年も使っていればZenfone 8特有のクセを掴んで慣れるようになりますが、不満が無いわけじゃありません。例えばやっと搭載された電子水準器機能はほとんど役に立ちません。ピッチとロールどちらも水平のときしか使えない電子水準器って何…?
Android 12にアップデートした後くらいからカメラ撮影後の処理がずいぶん長くなったようにも感じます。撮影後のプレビューがすぐに確認できないのは大変不便。
文鎮化問題でケチが付いた
Zenfone 8を語るには避けるわけにはいかない話題です。ハードウェアの不具合を起因とするトラブルで、発生するといわゆる文鎮化する(自己解決できずサポートに頼るしかない)という問題が起きました。件数は少ないとはいえ国内でも発生事例があり、いつどこで誰のZenfone 8が文鎮化するかわからない不発弾のような状態はおサイフケータイ対応など日本市場向けに今まで以上に力を入れたZenfone 8の勢いを失速させることになりました。
発生した際にはASUS JAPANによる無償修理・交換サポートが受けられることは確認していますが、こういうトラブルに遭遇した際にかかる手間や時間でユーザーが消耗することは想像に難くありません。こういったケチの付き方は非常にもったいないなぁと思いました。
ASUS JAPANのサポート対応が悪いとは思いませんが、問い合わせに対して回答はあったものの、メーカーとしてのリリースやアナウンスは無く、文鎮化リスクがどこまであるのかわからない(特定ロットだけなのか、現在販売中のものにも発生の可能性があるのか)という部分が不明瞭で、安心して買えない状況ができてしまいました。
総括:Zenfone 8の絶妙なバランスのパッケージング
Zenfone 8を使えば使うほど、開発陣の絶妙なバランス感覚のすごさを感じます。
画面サイズは5.9インチで、コンパクトでありながら小さすぎて使いにくいと感じるほどでもない「ちょうど良いコンパクト」。カメラ構成は3眼ではなく2眼にすることで内部スペースを確保してバッテリー容量を重視。中望遠は広角カメラのデジタルズームに頼り、望遠は潔く諦める。それでいてイヤホンジャックはなんとしても搭載する。という、まるで綱渡りをしているかのような構成の取捨選択。そして価格は7万9800円(価格改定が実施され現在は7万2800円)から。
シェア上位の獲得とは違う土俵で戦っているからこそできる「あえて王道を外す選択」がZenfone 8で活きています。逆張りってだいたい失敗する印象があるのですが、ASUSはうまくやってのけました。
Zenfone 9には期待しかない
次のフラグシップモデル「Zenfone 9」も日本上陸を控えています。絶妙なバランス感覚から生まれたZenfone 8のコンセプトを継承し、より完成度を高めた1台として非常に期待しています。日本向けにはおサイフケータイも搭載してくるでしょう。
Zenfone 8が作ったASUSスマホの新しい道はZenFone 6から続くキワモノルートとは違う万人に受け入れられる可能性を持った道です。バトンタッチはもう間もなく。今日もZenfone 8を愛用しながらその時を楽しみにしています。