ASUS スマホ事業 新戦略
ASUSのスマホ事業は万年赤字で、基本的にずっと利益が出てません。ASUS JAPANが管轄する日本市場においては一時はオープン市場でシェアトップを取るなど存在感を示し(規模感は別として)結構好調ではあるのですが、グローバル全体を見渡すとASUSはずっと赤字です。

そんなスマホ事業の戦略は過去にも方針を変えたことがあるのですが、今年さらに新しくなったと見ています。

最初の戦略:世界を獲りに行く

ZenFone 5 A500KL
ASUSがスマホ事業に本格的に参入しZenFoneシリーズを投入したのが2014年。スマホ事業を始めたときは「世界シェアトップ10のメーカー入り」を目標としていました。世界でシェアを取るためにはたくさん売る必要があり、手頃な価格で、いわゆるコスパの良いスマホをたくさん投入しました。

99ドルで買えるZenFoneは大ヒットし、初年度は850万台の出荷を記録しています。しかしこの勢いは長くは続かず、台頭する中国勢に押されるかたちで規模が縮小していきます。

第2の戦略:高級モデルで利益重視

ZenFone 6 ZS630KL
コスパの良いスマホは利益率が低い薄利多売のビジネスです。それでいて台数が伸び悩めば苦しむ一方。そこでASUSはシェアを追うことをやめます。ハイエンドモデルを出して、数は多くなくともちゃんと利益が出て黒字になるように戦略を変えました。

そこで生まれたのがゲーミングスマホのROG Phoneと、フリップカメラを搭載したZenFone 6です。ここが最初のターニングポイント。世界シェアを狙う薄利多売の戦略からライバルの少ないニッチ層向け製品へと切り替えました

それでも黒字化は実現せず

ハイエンドのみの展開となってからの実績はというと、2021年の出荷台数が80万台、2022年は60万台と伸び悩んでいます。残念ながら現在においてもASUSのスマホ事業は黒字化を達成できていません。

第3の戦略:ニッチからマスへ

Zenfone 10
2023年までのASUSのスマホ2本柱はゲーミングスマホのROG PhoneとコンパクトハイエンドのZenfone。ゲーミングスマホ市場は思ったほど拡大せず、競合メーカーも減ってさみしい状況。コンパクトモデルのAndroidスマホという稀有な存在のZenfoneは毎年新製品が出るたびに世界中で評価されているものの、そもそもコンパクト需要はそんなに無いという状況。

そこでASUSは新戦略を打ち立てました。もっとたくさんの人が手に取ってくれるように需要の多いカテゴリーに切り替えることを決めました。

ROG Phone 8 発表情報 (1)
ROG Phoneはコアゲーマー向けに尖り続けてきましたが、スマホとしての使い勝手を見直し、ユーザーから要望の多かった機能を取り入れて大きくデザインを変えました。

Zenfone 11 Ultra 発表 (1)
Zenfoneもコンパクトモデルをやめ、世界中で主流となっている大画面スマホへと変化。今までよりもたくさんの人の買い替え候補となりえる存在になりました。

兄弟モデル開発

ASUSスマホ 戦略転換
ROG PhoneとZenfoneは全く違ったカテゴリーの製品でしたが、両者がマス向けに舵を切ったことで立ち位置が一気に近づきました。それならハードウェアの設計を共通化して2モデル一緒に開発しよう!となるのも自然な流れです。

離れていく人もいるはず

従来からのファンからするとがっかりするような新製品かもしれません。実際に次の買い替え候補には入らないでしょう。それでもASUSとしては新規ユーザーの獲得に動かざるを得ないところまで来てしまいました。

圧倒的なライバルたち

大画面スマホは競合製品がひしめき合う激戦区です。世界シェアの上位に君臨する大手メーカーのフラグシップモデルがROG Phone 8やZenfone 11 Ultraの買い替え検討時の比較対象となるわけです。ASUSにとって今まで以上に厳しい戦いが始まります。


今日のおすすめ

今までマウスは比較的小さい製品をつまみ持ちするように使ってたのですが、腕に負担の少ない形状のEX-Gに乗り換えました。自然な姿勢でフィットする形状で、S/M/L/XLの4サイズ展開。2.4GHz無線とBluetooth接続から選べて、左手用までラインアップ。バリエーション多すぎ。