2024年7月3日、ASUS JAPANは新製品スマホ「Zenfone 11 Ultra」を発表しました。7月5日発売です。事前にお借りして試用する機会をいただきましたのでレビューを紹介します。
ラインアップと価格
12GB/256GBモデル:13万9800円
カラバリ:ブラック/ブルー/グレー/サンド
16GB/512GBモデル:15万9800円
カラバリ:ブラック/ブルー
ASUS Store リンク:Zenfone 11 Ultra
まずはラインアップと価格の紹介です。12GB/256GBモデルは13万9800円で4色展開。デザートサンドは鳥取砂丘をモチーフにした色で注目。リッチな構成の16GB/512GBモデルは15万9800円。だいたい最量販モデル以外はカラバリが黒オンリーだったりするのですが、Zenfone 11 Ultraは黒と青の2色展開で選べるのが嬉しい。
Zenfone 11 Ultraのカラバリ
スカイラインブルーはスウェーデン ストックホルムの空がモチーフ。ブラックとともに上位モデルにも展開されます。
エターナルブラックはアイスランドの極夜がモチーフ。暗い色なので光沢仕上げになっているAモノグラムがきらりと映えます。カメラバンプが黒いので、全体の統一感もあって締まって見えますね。
ミスティグレーはアメリカ サンフランシスコの街を包む霧がモチーフ。あえて白じゃないところがポイントでしょうか。
デザートサンドは日本の鳥取砂丘を照らす夕日がモチーフ。なんとも珍しい日本の景色がスマホの色になっています。砂漠っぽいタンカラーではなく、夕日のイメージが近い優しいオレンジ。
Zenfone 11 Ultraの外観
背面はガラス素材で、すりガラス仕上げと光沢仕上げをうまく組み合わせてAモノグラムを表現しています。このデザインは主にノートパソコンのZenbookで採用されているもので、一緒に持てば統一感が得られます。
ボタン類は右側面に集約。上が音量ボタン、下が電源ボタンという一般的なレイアウトです。
底部は左からマイク穴、USB-Cポート、SIMトレイ、スピーカー、イヤホンジャック。
Zenfone 11 UltraとZenfone 10のサイズ比較
Zenfone 8から10まではコンパクトモデルがラインアップされていました。2024年は久しぶりに大画面化。並べて見るとこれくらいサイズ感が違います。
Zenfone 10は5.9インチ。Zenfone 11 Ultraは6.78インチです。
Zenfone 11 Ultraの付属品
付属品は以上の通りです。今回は充電器が付属しません。65Wでの急速充電を利用したい場合は純正の充電器をご使用ください。
ASUSによる純正品の販売があります。こちらはROG Phone 8付属品と同等のもの。
ASUS Store リンク:ROG 65W ADAPTER &1.2M USB-C CABLE (ROG_65W_ADAPTER_1.2)
ASUS Store リンク:ROG Gaming Charger Dock (ROG_65W_CHARGERDOCK)
Zenfone 11 Ultraの付属ケース
ボディ色を選択してもブラックのケースが付属します。硬質プラスチック製で薄型。Zenfone 11 Ultraと同様のAモノグラムデザインがあしらわれています。
薄型軽量な一方で保護力は控えめ。両側面が大きく開口する形状だったり、カメラバンプの飛び出しもそのままです。落下への対策とするならサードパーティ製ケースもご検討ください。
Zenfone 11 UltraのFeliCa検出位置
NFCおよびFeliCa(おサイフケータイ)の検出位置はここ。
Zenfone 11 Ultraのホーム画面
セットアップ直後のホーム画面はこんな感じ。ASUSスマホに搭載されているシステムUI「ZenUI」はホーム画面のグリッドレイアウトを変更できるため、Zenfone 11 Ultraのような大画面モデルならもっとたくさんアプリを並べても良さそう。
Zenfone 11 Ultraのプリインストールアプリ
プリインストールアプリは35個。ebookjapanやi-フィルターなどはアンインストールできるので、さらにここから少なくすることも可能です。
ZenUIではドロワー内のフォルダ分けに対応。スッキリして気分が良いですね。
新しいクイック設定
今年からクイック設定のデザインが1つ追加されました。Google純正、従来からあるASUSオリジナルに加え、新デザインが選べるようになりました。
それぞれのデザインはこんな感じ。「純正 Android」はGoogle PixelやAndroidの標準デザインとして一般的なもの。AOSP(素のAndroid)が好きならこちら。右の「ASUS オリジナル 標準」は昔からASUSが採用しているデザインでスイッチをたくさん並べられるのでカスタマイズ好きにおすすめ。
真ん中の「ASUS オリジナル 拡張」は新たに追加されたデザインで、最近の流行りを取り入れたものになっています。
画面の左半分からスワイプすると通知情報を表示。右半分からスワイプするとクイック設定が出ます。クイック設定には自由にオン・オフスイッチを配置でき、さらに左右スワイプでスイッチを増やせます。従来からあるASUSデザインの良さを踏襲しているような印象。
Zenfone 11 Ultraの良かったところ
- 6.78インチの大画面で広大な表示領域
- 画面下部も狭額縁化してモダンなデザインに
- 2500ニトの高輝度で屋外でも見やすい
- Androidスマホ最上位の性能でサクサク動作
- 広角+超広角+望遠と無駄のない3カメラ構成
- インカメラ超広角化でグループ自撮りしやすく進化
- 5500mAhの大容量バッテリー
- 待望のn79対応でドコモ5G活用可能
- Zenbookと統一感のある背面デザイン
- 便利に進化し続けるZenUI
- カメラアプリのシャッターラグ改善か
Zenfone 11 Ultraを使ってみて感じた良かったポイント、たくさんあるので箇条書きにしました。とにかくスマホとしての使い勝手は非常に良好で、大画面にさえ抵抗がなければオープン市場向け製品として有力な選択肢になり得ると思います。
やっぱり大画面にすると多くのメリットがあるのだなと再実感しました。昨今のスマホのトレンドになっている機能などは一通り揃えて、トリプルカメラであっても5500mAhの大容量バッテリーが収まります。Zenfone 10の1.27倍のバッテリー容量アップ。電池持ちへの好影響が期待できます。
プロセッサーの性能向上のおかげか、カメラアプリのシャッターラグが軽減しているように感じました。写真をたくさん撮りたいのでありがたいポイント。
Zenfone 11 Ultraのイマイチなところ
- Zenfone 10に慣れているからデカい
- カメラバンプの飛び出し具合
- カメラバンプのデザイン
- カメラの性能・画質は平凡
- カメラアプリの電子水準器が使いにくい
- AI機能は一過性のブームにならない?
- 看板となるような個性的な要素がない
- アップデート保証が短い
Zenfone 8から3年間、コンパクトモデルに慣れ親しんだことでZenfone 11 Ultraはさすがに大きい!スマホの大きさに関しては本当に好みの問題なので、画面の大小に関わらず、実際に見て触って持ってみて、手に馴染むか?画面は見やすいか?毎日持ち歩いて苦にならないか?など、試してみたほうが良いと思います。
不満ポイントの多くは外観です。日常使いにおいてはケースで隠れてしまうのですが、所有欲を満たすような優れた外観デザインは大事。Zenfone 11 Ultraはとりわけカメラバンプのデザインがイマイチで、もうちょっとなんとかなりませんでしたか?という感じ。トリプルカメラ化・高性能化によって大型化したこともあって悪い意味で存在感が高まっています。ボディ色を黒にしたり、黒いケースを装着することで誤魔化せるので、色やアクセサリー選びの参考にしてみてください。
カメラアプリは基本的に従来からの継続+機能追加ですが、以前からある電子水準器がまあ使いにくいこと。完全な水平でしか機能せず、俯瞰やアオリでは非表示になる仕様。開発陣はぜひミラーレス一眼カメラなどに触れて改良してください。もっと活用したいんです。
カメラ画質においてもイメージセンサーの性能向上などで相応の進化はしているのですが、他社のフラグシップモデルと比較して優れているかといわれるとかなり微妙。肌の発色は良くなった気がします。過去にはZenfone 9で夜景モードの画質が大幅に向上したり、ASUSも徐々に画作りを高めてはきているのですが、カメラ事業はやってないし、カメラメーカーとの協業もしていない状況ですからノウハウで他社に劣る部分は否めません。
Zenfone 11 Ultraのアップデート保証はメジャーアップデート2回とセキュリティパッチ更新4年。発売日に購入して使い潰すならこれで問題ありませんが、性能的にはもっと長期で使えるポテンシャルを持っています。最初の所有者が3年使って売却、中古品を購入した二人目の所有者がさらに数年使えるようなアップデートの体制を整えてほしいと思いました。せめてあと1年ずつ追加してほしい…!
ROG Phone 8との違い
Zenfone 11 UltraはROG Phone 8と多くの設計を共通化した兄弟モデルです。ROG Phone 8はゲームを快適にプレイするための特別なハードウェアが搭載され、AirTriggerを搭載し、側面USB-Cポートを備え、AeroActive Coolerに対応します。ZenUIを基にした専用のシステムUI(ROG UI)はさまざまなゲーム特化機能を内蔵しています。これらはROG Phone 8 シリーズ専用のもので、Zenfone 11 Ultraにはありません。
ROG Phone 8譲りの排熱性能
一方でROG Phone 8が持つ魅力をそのまま受け継いでいる部分もあります。注目が内部構造の排熱機構。ゲーミングスマホであるROG Phone 8は発熱・排熱に対して相当こだわっていますが、Zenfone 11 Ultraにもそのまま搭載されています。排熱性能においては最新のゲーミングスマホに匹敵するものを備えているといっていいでしょう。
ROG Phone 8とZenfone 11 Ultraどちらを選ぶか
- ROG Phone 8 Pro(16GB/512GB):17万9800円
- ROG Phone 8(16GB/256GB):15万9800円
- Zenfone 11 Ultra(16GB/512GB):15万9800円
- Zenfone 11 Ultra(12GB/256GB):13万9800円
ROG Phone 8とZenfone 11 Ultraは内部基板の設計から共通の兄弟モデルです。ゲーム特化要素のハードウェアやシステムUIが主な差別化ポイントとなります。それぞれの販売価格は以上の通りで、ざっくりROG Phone 8との価格差は2万円といった感じ。
ゲームプレイへの強いこだわりがあればROG Phone 8を。日常使いが多ければZenfone 11 Ultraを選ぶと良さそうです。Zenfone 11 Ultraもゲーム特化機能であるGame Genieが搭載されています。並のスマホよりよっぽどゲーミングスマホとしての素養があります。
強いて言えば刺激がほしい
Zenfone 11 Ultra、正直なところかなり良いです。スマホに求めているものがほぼすべて入っていて、高いレベルで快適に使えるものに仕上がっています。強いて言うなら刺激が足らないなって思いました。ROG Phone 8はゲーミングスマホとして相当尖っていて、Zenfone 11 Ultraはその要素を省いた兄弟モデル。自ずと没個性的になります。ASUS的にはAI機能がZenfone 11 Ultraの推しポイントみたいですが、やっぱりハードウェアで何か差をつけてほしかったなと思います。
真のハイエンドモデルを目指して
Zenfone 8からZenfone 10頃までのZenfoneのことを私は「ミドルハイクラスの筐体にハイエンドSoCを載せたスマホ」と評してきました。我ながら的を射た良い表現だと思ってるんですが、Zenfone 11 Ultraではこの位置づけを変えてきたように思いました。ROG Phone 8をベースにしていることもあるのですが、正真正銘のハイエンドモデルとして仕上げようという気概を感じます。
妥協点を減らし、なるべく高性能な部材を選定し、それでいてニーズに合わせた取捨選択で購入しやすい価格を目指す。今は円安の影響もあってスマホの価格は上がる一方です。Zenfone 11 Ultraは13万9800円から。十分高いんですけど、高いなりに頑張ってる感じはありますよね。
日本のスマホ市場は年間3000万台ほど売れています。その中でキャリアを通さないオープン市場の規模はたった1割の約300万台。MVNOとの組み合わせが多く、低価格帯が圧倒的に売れるオープン市場ですが、ASUSはこの市場だけで勝負して、ハイエンドモデルを用意し、おサイフケータイなど日本向けのローカライズも万全に実施。よくもまあこんな小さな市場で頑張ってくれますよね。私もそれに応えるように買って応援します。
Zenfone 11 Ultraの主なスペック
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Android 14(ZenUI) |
CPU | クアルコム Snapdragon 8 Gen 3 |
ディスプレイ | 6.78インチFHD、サムスン有機EL 最大144Hz、1~120Hz可変 ゴリラガラスVictus 2 HDR10、最大2500ニト |
RAM | 12GB/16GB(LPDDR5X) |
内部ストレージ | 256GB/512GB(UFS4.0) |
アウトカメラ(広角) | 5000万画素、換算23.8mm、F1.9、IMX890、1/1.56インチセンサー、ジンバル |
アウトカメラ(超広角) | 1300万画素、換算12.7mm、F2.2 |
アウトカメラ(望遠) | 3200万画素、換算65.3mm、F2.4、OIS |
インカメラ | 3200万画素、換算22mm、F2.05、RGBWイメージセンサー |
バッテリー | 5500mAh、パススルー充電対応 |
急速充電 | ASUS HyperChage 65W QC5 30W USB PD 30W ワイヤレス充電 15W |
サイズ | 高さ163.8mm×幅76.8mm×奥行き8.9mm |
重さ | 225g |
防水・防塵 | IP65/IP68 |
SIMスロット | nanoSIM+nanoSIM |
その他 | Wi-Fi 6/6E Bluetooth 5.4 NFC おサイフケータイ 画面内指紋センサー 3.5mmイヤホンジャック |
ネットワーク特記 | ドコモ5G(4.5GHz帯 バンドn79)対応 楽天モバイル4G(700MHz帯 バンド28)対応 |
付属品 | USB CtoCケーブル SIMイジェクトピン 専用ケース ユーザーマニュアル(兼製品保証書) |